
株式チャートの「形」に意義を見出そうとするテクニカル分析による投資は大分昔から存在し、その有用性は多くの研究者により検証されてきました。
結果、テクニカルに基づく投資では利益を出すことは困難だと統計学的に証明されている訳ですが、今回は当ブログが役に立つと思い、実際に用いているテクニカル指標に関しお伝えしていきます。
とは言え、ゴールデンクロスが…、三角持ち合いが…などということを言い始める訳ではありません。あくまでファンダメンタルズとそれによるバリュー投資の考えに基づいた検証となりますので、ご安心下さい。
バリューなテクニカル分析
さて、私が相場の先輩から見聞きし経験してきた中でも、有効と考えているチャートパターンは以下の二つです。
1. 東京タワー
2. 富士山
順番に見ていきますね。
バブル・チャート
" 東京タワーが立ったら相場には近づくな! " この言葉には僕自身何度か救われてきました。
まず典型的な例をいくつか見てみます。

こちらはITバブル前後のシスコ・システムズのチャートとなります。言わずと知れたITバブルの雄がこちらなのですが、バブルとその後の崩壊に向け、見事に東京タワーよろしくチャートが垂直に立っていますね。
もう一例見てみましょう。

こちらは最近バブル崩壊を来したビットコインのチャートです。同じくチャートが垂直に立っています。
東京タワーが立つ理由
こういったバブル終末期の特徴は、将来への熱望と上がる株価に魅せられ、人々が次から次へと殺到することにあります。
「私はその株を100ドルで買おう」「無限の可能性があるテクノロジーだ... こちらは200ドルで買うぞ!」「私は500ドル、いや1000ドル出すぞ、どうせ明日にはもっと高い値で売れるのだから!」
というような具合です。
実際は将来がいかに有望視される企業であっても、現実的な業績変化を生じるのには、設備投資・スタッフへの教育・組織改革など数年にも及ぶ過程を経て、徐々に企業は変わっていくものです。
しかしバブルの最中では市場の熱狂がその現実を遥かに先取りする現象が起こります。そして楽観的な株価見通しを基にした最後の買い手すらいなくなった時点で、それ以上の値上がりを来すことが出来なくなり、バブルは自然崩壊することになります。
最近私が東京タワーが立ったと感じたのは2018年年初の相場下落前です。私の場合、東京タワーが立ち始めたら、その際のバリュエーション等にもよるのですが、少なくとも新規の買い付けは停止することにしています。
というのは、それほどの熱気を帯びた価格上昇を説明するのには、通常はその後の下落とレンジ相場の持続でファンダメンタルズの成長を暫く待つか、或いはバリュエーション(PER, PBRなど)や金利水準によっては、バブル崩壊=価格の標準回帰を来す可能性が高いと思われるからなのです。
ここで僕には興奮した群集による垂直に立ったチャートは、あたかも芥川龍之介の短編、" 蜘蛛の糸 " を思い起こさせます。
シケモク・チャート
逆に私が見ると心ときめくチャートが、もう一つのチャートパターン「富士山」です。
まず実例を見てみましょう。
" 富士山 " の実例

こちらはITバブル破綻後のアマゾンのチャートです。アマゾンにもかつてはこのように株価が90%以上下落した時期があったのですね。
ここで見て頂きたいのは、株価が徹底的に売り込まれた後です。
ファンダメンタルズがある程度以上保たれた企業であれば、大きく売られた後、数年を経てくると、次第と悪材料に反応しなくなり、富士の裾野のようにやがて平衡相とでもいえるフェイズに移行していくことになります。
もう一例見てみましょう。

こちらは私が最近投資したフォッシルです。
この企業は基本的に全くキャッシュフロー赤字が無く、例年安定した利益を稼いでいたのですが、昨今の腕時計というビジネスモデルへの不安から市場の叩き売りに晒されていました(詳細はフォッシルの投資判断を参照ください)。
そして市場での悪材料出尽くしに伴い、ここでも " 富士山と富士の裾野 " が出現していますね。
この後暫くの平衡状態を経てフォッシルの後株価は急激な上昇を来し、結果、ダブルバガーへと反発しています。
" 富士山 " の意味
" 富士山とその裾野 " の意味は、先の東京タワーの逆かと考えています。
つまり最後の売り手まで売りつくした後は自然反発する、という原則に基づいた動きがこのチャートに表れているのだろうと思うのです。
勿論ここではファンダメンタルズが企業の保有する資産やキャッシュフローで担保されていることが前提条件です。また悪材料に反応しなくなってきた時点で購入しても、なお底なし沼のように更に2-3割の価格下落はつねづね経験する所です。
ですが僕の経験上、長期的な利益が得られることがとても多いことから、堅牢なファンダメンタルズを伴う銘柄でこのチャートを見ると大変嬉しく思います。
また、かのベンジャミン・グレアムも " 賢明なる投資家 " の中で、悪材料に株価が反応しなくなった時が株式取得に優れた時期としています。
最後に
結局のところチャート分析は当たるも当たらぬも八卦、という点は否めません。
ですがそこにファンダメンタルズによる本質的価値、そしてそこに向かう標準回帰というバリューからの視点が加われば、また異なった見方が出来るのではないかと思っています。
あまりにも人気が過熱しリスキー、ないしあまりにも安く放置されている、こういった状況を気付くキッカケになればと思いつつチャートを見るようにしていますし、今後も引き続き投資の一つの判断材料にしていこうと私は考えています。
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