前回は米国の実店舗に関連した業界、小売・食品・アパレルなどのセクターが2015年以来、苦境に陥っていることをお伝えしました。
また、その原因が、(1) 小売業界自体の過剰な設備投資によるミニバブルの崩壊、(2) アマゾンを始めとしたEコマースの台頭にあることをお伝えしてきました。
今回はこのミニバブル崩壊の株価の底がどこにあるかを考えていきたいと思います。
よくあるバブルの崩壊
バブルというとITバブルや、リーマンショックなどという世界を揺るがすイベントを思い出します。
しかし、1920年以降、現在までに世界各地で計28回のバブルが生じたとされ、教科書的な上記のような大規模なバブル以外に、小規模なバブルも多数発生していることになります。
どの程度の株価の暴落をバブル崩壊と定義するかにもよりますが、小さなバブルでいうと2015年のチャイナ・ショック、2017年現在のビットコイン・バブルといった小規模なバブルは、低金利政策の持続とともに、その副作用として繰り返し出現してきました。
小規模なバブルとその崩壊は、低金利政策後に市場で良く見られる、風物詩のようなものだと私はつねづね思っています。
レミングの群れ
では、バブル・ミニバブルの底値と期間がどの程度かというと、残念ながらこれは分かりません。
これはバブルの天井、底のいずれも、熱狂と恐怖によりパニック化した群集心理によりその株価は決定されるためです。
大規模なバブルの場合は、中央銀行による大規模な金融緩和や財政出動がその合図となることが多いですが、今回のような小規模なバブルの場合はその合図は無く、純粋にセクター全体のファンダメンタルズの改善ないし、その兆候が見られだす時点を待つこととなるでしょう。
バブルの底
米国経済は極めて好調です。雇用統計・GDP成長率・住宅販売などのいずれの統計も良好な数値を示し続けています。
基本的に小売りバブルの崩壊は、業界そのものの過剰投資とそれによる不良在庫によるものです。
背景となる米国の消費自体は旺盛ですし、今は絶好調に見えるアマゾンの発展も無限という訳でもありません。
そのため、恐らく過剰投資による不良債権が整理され、特にそれらを過剰に有した企業が価格競争によって駆逐された時点で、旺盛な消費者需要を背景にバブル崩壊は底を打つのでしょうね。
これはバブル崩壊後のいつも通りの展開となるだろうと思います。
そのため、バリュー投資家が行うことは、黙々と食品・生活消費財・アパレルの中でも「堀」を有すると思われる優良企業のナンピン買いを繰り返すこととなります。
そしてミニバブルの底が深く長いほど、際立って好調なハイテク市場の成績とのコントラストが際立つこととなりますので、こういった「退屈な銘柄」のホールドに疲れた投資家が次々と投げ売りを開始することとなります。
つまりバリュー投資家には、嬉しい価格の下落が続くこととなりますね。
まとめますと、ミニバブルの底が分からない以上、本質的価値以下に価格が低下した銘柄は常に買い場であり、そういった銘柄にドルコスト平均法、ないし集中投資を行うことが、私の考える投資法です。
バブルの徒花
もう一つ今回のタイトルとは話が逸れますが、追加でお伝えします。
低金利で出現するバブルの一つとして先程ビットコインを挙げました。
ビットコインなどの仮想通貨は、実際に今後普及するかどうかも不明な資産です。ファンダメンタルズによって最低限保証される価格の底がそもそも存在しない可能性もあり、バブル時の購入は特に危険と考えます。
似たように本質的な価値に乏しい危険な投資の例として、かつてのゴルフの会員権を見てみます。
バブル期にゴルフの会員権は、関東の主要なクラブの平均価格でいいますと、1976年 290万円 → バブル期 4388万円と異常な速度で上昇し、一日に100万円の価格上昇を来したこともあったそうです。
そしてバブル後には、20年以上が経過した2012年に190万円の最安値をつけ、その価格でも売れない低迷状態が続くこととなります(東洋経済 online 2015年10月4日付記事より引用)。
バブルの際の合言葉は、「日本には限られた土地しかないから、早めに買っておけば価格はいくらでも上がる」であったとのことで、現在のビットコインとの類似点を私は強く感じます。
こういったものを購入するよりは、その価値が簿価や企業ブランドで最低限保証されるグロース銘柄(Googleやスターバックスなど)への投資の方が、私はまだ安全性があると思いますし、チャレンジングな取引を行う場合にも、その選択には慎重を期すべきと思います。
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