フィリップス・モリス(PM) PER25.45
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI) PER21.32
かつてPER10台が当然だった、不人気の代表銘柄が、長い雌伏の時を経て多くの投資家に支持されています。たばこ銘柄の優れたファンダメンタルズと、たばこの依存性からくる高い顧客忠誠度が、企業の高収益を生み続けています。
PMは1957年-2003年の46年間で年平均リターンが19.75%と、同期間の最高リターンを得た銘柄としても有名です。かつてシーゲル博士は同銘柄を、コーポレート・エルドラド(黄金銘柄)と評しました。たばこ銘柄は今後も、投資家にとって良い銘柄で有り続けるのでしょうか。
フィリップス・モリス(PM)を例に検討してみます。
PMのEPS推移です。ここ数年はEPSは停滞しています。
ROA推移です。同銘柄は債務超過のため、ROEは評価不能ですので、代わりにROAをグラフにしています。
20%台となかなか見ることが出来ない数値が続いており、申し分ないと言えます。年次報告書の他のファンダメンタルズも同銘柄の高い収益性を裏付けるものです。
メアリー・バフェットの方法により、予想収益を計算してみます。PMのEPS成長率は5.1%となり、ここから10年後のEPSを計算すると、EPS 7.34となります。ここに最近10年の最低PERを掛けますと、10年後の予想株価は96.9となります。
これによる予測年利回りは、なんと-1.7%です。
さて、株式から利益が得られるかどうかは、良い銘柄であるだけでなく、投資家の期待値と企業業績が乖離している銘柄を選ぶ必要があります。皆が購入を希望する、優良銘柄は既にそれを反映した相応の高値をつけているためです。これはグロース株と呼ばれる銘柄に多く見られる現象です。
PMが過去に素晴らしいパフォーマンスを挙げたのは、同銘柄がたばこ業界の訴訟問題の中で、予想された低評価を覆して好業績を上げ続けたことが理由でした。私は、既に大人気で、Wall Street Journalでも特集が組まれるような各種たばこ銘柄が、今後も高値を長期間更新しつづけられるとは、あまり思いません。
先の計算からすると、現在の高PERによって、PMの高収益は未来に渡り、既に現在の株価に織り込まれてしまっていると考えます。
先日のたばこ銘柄の暴落は、表面的にはたばこの規制強化への懸念がその原因ですが、本銘柄の収益の成長率からして、既に実体以上に高騰した価格も原因と考えています。
「ウォール街で他よりも良い業績をあげたければ、ウォール街では一般的でないことをしなければならない」というのはベンジャミン・グレアムの言ですが、この場合、私もそのように思うのです。
スポンサーリンク
0 件のコメント :
コメントの投稿・確認
おすすめ記事とスポンサーリンク